【交通事故について知る】専門用語に触れておこう(4)「運行供用者の責任と使用者責任の違い」

投稿日:2013.12.14

藤沢市交通事故外傷治療院のブログです。

 

自賠法により、「運行供用者」には被害者への損害賠償責任があることは先にご説明したとおりですが、この責任は「使用者責任」とは違います。

どう違うのでしょうか。

 

「使用者責任」はよく耳にする単語でしょう。文字通り、使用者、つまり、雇い主(加害者を実質的に指揮監督して仕事をさせる者)の責任のことです。

事故を起こした人間が会社員であれば、その会社が「使用者」ということになります。

パートやアルバイトなど、きちんと雇用契約書などがなく口頭で雇っているような場合でも、実質的な指揮監督関係があれば使用者になります。

対して、委任契約や請負契約に基づく関係、例えばタクシー運転手と乗客との関係は指揮監督関係とは違いますから、乗客はタクシー運転手の使用者にはなりません。

 

使用者責任は民法の規定で定められています。

条文を見てみましょう。

 

民法175条 使用者等の責任

第1項

ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

 

さて、この「使用者責任」は交通事故の場合にどう問われるのでしょう。「運行供用者」の責任とは違うのでしょうか。

 

自賠法ができて以来、交通事故の損害賠償についての使用者の責任は厳しくなっている傾向があります。

被害者が加害者の所属している会社を訴えるケースが多くなっているといわれていますが、理由のひとつには、加害者がサラリーマンであった場合など、経済的に十分な損害賠償金が払えないという事情があります。

 

民法上の「使用者責任」を裁判で追及するには、事業の執行による運転だったのかどうか、故意や過失はどうか、といったことを被害者が立証しなければならないのですが、それは非常に困難なことです。

 

そのため、自動車を「自己のために運行の用に供する者」は、まずその責任を問うべきだという考えからできた法律が自賠法の第3条という背景があるのです。自賠法第3条により、被害者側は、運行供用者に対して、事故が起こり、その結果損害が発生したことだけど主張、立証すればよくなったのです。

大雑把に言うと、現在では被害者は「使用者責任」を問うよりは、それよりも広い範囲をカバーする「運行供用者責任」を問う方向になっています。

ただ、自賠法第3条は人身事故に関する責任のみの規定ですから、この民法上の「使用者責任」は物的損害については問われることになります。

事故の多くは人身・物損の双方に渡りますから、「運行供用者責任」と「使用者責任」の両方を請求するということです。

似ている用語でも、その範囲や対象はこのように違う場合もあります。

普段は気にしないものですが、いざというときに使用する場合には使用箇所に気を付けなければなりません。曖昧な解釈での使用は控えるべきでしょう。

 

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